目を見て
たまに、生徒の前で生徒にとっては耳が痛いようなことも言わないといけない。
そもそも人前で話すことが苦手な私は、
普段からうまーく目を逸らしがちだった。
ちょうど生徒のおでこあたりを見て、うまーく、やってきた。
それでも、今日は、それじゃダメだと思った。
ここを逃したら、クラスが少し悪い方向に行く気がした。どうしよう。なんて言おう。怖かったけど、考えるに考えた矢先、パッとこの言葉が思いついた。
「絶対に目を見て話す。目線を外さない。」
コーチという形でサッカー日本代表に戻ってきた長谷部誠さんの、現役時代の言葉。
そうだ、もし、長谷部さんだったら。
きっとそうするだろう。
逃げないで、一人一人と目を合わせて話そう。
そう心に決めて、目線を逸らさずに、話した。
そしたら意外にも、ほとんどの生徒と目が合った。もしかしたら、この子達は、もっと前から、いやはじめから、私と目を合わせようとしてくれていたのかもしれない。
合わせてなかったのは、私の方だった。
それに気づいて、帰りの電車で涙が溢れた。
すまいりー
女性/26歳/東京都/公務員
2024-09-04 22:44