第二ボタン

中学の卒業式でもらった第二ボタンです。恥ずかしいですが、鼻を近づけると、今でも銅の匂いの中から彼の持つ匂いがします。彼からの告白で、彼とは両想いだったことを知りましたが、きれいな思い出のままにしたかったので、交際はしませんでした。彼は、私の良い所を引き出してくれた人で、彼と心から出会えて良かったと、10年経つ今でも胸を張って思えます。そしてもちろん、これからも。真面目な話、私が棺桶に入る時には、ボタンも一緒に入れてほしいと思っています。大人になった彼はどこかで生きてはいますが、当時の彼は、もちろん今はこの世にはいません。ボタンを手にする度に、当時の彼に無性に会いたくなりますが、当時の彼に見られても恥ずかしくない自分でいようと元気も湧いてきます。今日も、ボタンは小物入れの中に静かに眠っています。

3