『飲食店』ならば
イタリアのベニスに『ハリーズ・バー』という店がある。創業1931年。『○○'S Bar』なんて米国のダイナー風の名前は90年前のイタリアでは外来語っぽくてオシャレだったのだろうか。
名物は生の牛肉を薄く叩いて皿に貼り付け、マヨネーズのソースをあしらった前菜。
中世、赤い絵の具を多用することで知られた地元ベニスの画家 ヴィットーレ・カルパッチョに赤身肉をあやかって『牛肉のカルパッチョ風』と名付けられた。
今ある世界中のカルパッチョの始祖です。
10年くらい前。
都内のベニス展で来日した本物のカルパッチョの絵を見た時「30数年、カルパッチョと名のつく料理を作ってきたけど、これが本物のカルパッチョの絵か!」と感極まりました(笑)
もちろん、一般の方には無関係な話です。
白身のお刺身にピエトロのドレッシングをかけて「魚のカルパッチョ美味しいなぁ!」でオッケイである。
・アルデンテ ・ニョッキ ・バーニャカウダ
そう言えばこないだ桃屋さんのコーナーで『クワトロフォルマッジ風チーズトースト』みたいなお料理を紹介してくださったリスナーさんがいたけど。
本筋の意味は違うけど、チーズ+蜂蜜で『クワトロフォルマッジ』を楽しく聴かせていただいた。
日本におけるイタリア料理の100年は、馴染みのない言葉や料理法を日本人に紹介し続けた100年でもあります。
例えば『バーニャカウダ』なら『野菜スティックのアンチョビガーリックソース』なんて長ったらしい名前をメニューに書いたりしてね。
『はじめてイタリア料理を食べに来た人でも楽しめるように』と長年、苦心惨憺してきたわけです。
てか、何度か通ううちに、その店の使い勝手がわかってくる、ということはあって。それはリピーターの特権だとは思うけど。少なくとも『飲食店』であるなら『初回来店の客でもスタンダードに食事を楽しめるサービス』を提供するのは店側の義務だ。
とまぁ……
一部、ラーメン店にて。謎ルールを標榜する店と謎ルールを知ってることで上客なのだと、初来店の客を蔑ろにする流れ。
ミジンコよりも小さな優越感。
これは『飲食店』ではない、と断言できる。
コーギーモモ
男性/58歳/神奈川県/飲食業
2025-07-13 22:49