息子のメモ入りおにぎり
みなさまお疲れ様です。
あの朝は、本当に気が重かったんです。
前の日に仕事で大きなミスをして、上司にも叱られて。
情けなくて、家に帰ってもろくに口をきかずにいました。
夕飯のときも、息子の話に生返事ばかりで。
今思えば、あの時の自分はずいぶん小さな背中をしていたと思います。
翌朝、出勤の準備をしていたら、
キッチンの方からガタガタと音が聞こえました。
覗いてみると、エプロン姿の息子が真剣な顔でラップを握っていたんです。
「お父さん、今日お弁当作ったよ!」
そう言って差し出してくれたのは、アルミホイルに包まれたおにぎりでした。
「お前が作ったのか?」と聞くと、
「うん!梅干しとしゃけ、どっちも入れた!」と笑っていました。
その笑顔があまりに嬉しそうで、
「ありがとう」と言うのが精一杯でした。
会社のお昼休み。
その包みをそっと開けると、
おにぎりは少し形が崩れていて、ところどころ海苔がはがれていました。
でも、見た瞬間になんだか胸が熱くなりました。
ひと口かじると、塩気が強くて、少ししょっぱかったんです。
でも、その下に小さな紙切れが入っていました。
くしゃくしゃになったメモ帳の切れ端に、鉛筆で書かれていました。
「おしごとがんばってね おれのつくったおにぎりはうまい!」
それを読んだ途端、涙がこぼれました。
冷めたおにぎりなのに、あんなにあたたかい昼ごはんを食べたのは初めてでした。
「うまいよ。ほんとに、世界一うまいよ」って、
誰もいない休憩室でつぶやきながら泣いてしまいました。
あれから何年も経ちましたが、
いまでも仕事で落ち込むと、
あの紙切れの文字を思い出します。
——「おれのつくったおにぎりはうまい!」
あのとき息子がくれたお弁当は、
今でも私の心の中で、いちばんのごちそうです。
しまつち
男性/21歳/北海道/会社員
2025-10-22 17:50

