社員掲示板

3分で食べたロケ弁

みなさまお疲れ様です。

20代前半の頃、僕は某戦隊ものの撮影隊で裏方の仕事をしていました。
いわゆる現場スタッフで、朝は夜明け前から動きっぱなし。
ロケバスの手配、照明の準備、機材の運搬。
一日が終わるころには、ヘトヘトでした。
でも、夢のある仕事だと思って、必死でした。

ある日、地方ロケで昼の休憩になったときのこと。
配られたのは、いわゆる“ロケ弁”。
憧れの俳優さんたちが食べているのと同じ弁当だと思うと、
ちょっとワクワクしていたんです。

照り焼きチキンの香りがして、
「うまそうだな」と、ゆっくり味わいながら食べていました。
すると突然、背後から上司の怒鳴り声。

「おい! 何のんびり食ってんだ!
3分で食え! 3分で食えないなら、この仕事は向いてない!」

びっくりして、慌ててご飯をかきこみました。
味なんてまるでわかりませんでした。
ただ、喉の奥に詰まったあの弁当のご飯の硬さだけ、今でも覚えています。
その時は「なんでこんなに怒られるんだ」と悔しかった。
でも、少しずつ現場を知るうちに、
“時間が命”という意味がわかってきました。
あの一言は、叱責じゃなくて教えだったのかもしれません。

今はサラリーマンになって、
毎日デスクで昼食をとっています。
ゆっくり食べようと思えば食べられる。
けれど、ふとあの現場の昼を思い出すんです。
3分でかきこんだロケ弁の、あの味と、あの緊張感。

あの頃は「地獄みたいな職場だ」と思っていたけれど、
今では不思議と、あの忙しさが懐かしい。
お弁当を食べるたびに思うんです。
——「あの3分も、ちゃんと青春だったな」って。

しまつち

男性/21歳/北海道/会社員
2025-10-22 18:09

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