下駄箱に Sちゃんからの チョコレート
お疲れ様です。
人生で初めて好きと言われたときの記憶。
それは忘れもしない、小学5年生のときのバレンタインデー。
下駄箱にチョコレートと手紙が一緒に入っていました。
『北岳くんのことが好きになりました。
北岳くんのこと、もっと知りたいです。Sより』
もっと大きい字で書いた方がいいのではないか、と思うくらい、小さくて丸い女の子の文字でした。
Sち にゃん?誰だ?イニシャル"S"なんて、いっぱいいるよ?
ヒントの質が悪くて、絞り込めない。
さおりちゃん?しおりちゃん?さきちゃん?
『北岳くんのこと知りたいです』じゃないよ、君が誰なのか、こっちが知りたいよ。
ドキドキする胸、誰だか分からないもどかしさ、照れくさい気持ちが一緒になり、結局、食べずに家のゴミ箱に捨ててしまいました。
あれから四半世紀以上が経ち、こんな僕も人並みにチョコレートをもらってきました。
料理上手な彼女からもらった美味し~いガトーショコラや、
箱入り娘特製、何らかの破片が混入していたチョコなど、
バレンタインの思い出は他にもあるのに、
毎年いつも一番に思い出すのは、Sちゃんからもらった、食べもしないで捨てたチョコレートのことなのです。
Sちゃん!スカロケ聴いてる?
チョコレートありがとう。食べなかったこと、ちょっと後悔してる。嬉しかったよ。
それから……
あのね、Sちゃん……
ラブレターは……
もっと大きい字で書いた方がいいと思うよ。
第八小学校のKより。
北岳に来ただけ
男性/37歳/東京都/会社員
2026-02-11 14:14

