社員掲示板

あたふた案件

本部長、秘書お疲れ様です。

それは、デートの約束をしていて家を出る予定時刻のちょうど3分前のことでした。
完璧に身支度を整え、あとは靴を履くだけという最高の状態。しかし、ポケットを叩いた瞬間に血の気が引きました。
「ない。……スマホがない」
ここから、私と「見えない敵」とのデスゲームが幕を開けました。
バッグの中身を床にぶちまけ、さっきまで座っていたソファの隙間に容赦なく手を突っ込みます。お菓子のゴミと数枚の1円玉しか出てきません。焦りが頂点に達した私は、なぜか「冷蔵庫の中」や「洗濯機の中」まで開け始めました。冷静に考えれば、スマホを冷やしたり洗ったりしているはずがないのに、あたふたした人間の脳はIQが一時的にチンパンジー以下まで低下するのです。
「あと1分で出ないと遅刻する……!」
絶望した私は、最終手段に出ました。サブのスマホから自分のスマホに電話をして、音で場所を特定する作戦です。
ブー、ブー、ブー…」
静まり返った部屋に、かすかなバイブ音が響きます。
「ブー、ブー、ブー……」
音のする方へ、サブのスマホを片手にほふく前進で近づきました。
なんと音のする場所は






私の右手の平でした。
そうです。私は「右手にスマホを持ったまま、左手で部屋中をひっくり返してスマホを探していた」のです。画面にはしっかり「着信:サブ(iPhone)」の文字が光っていました。
私はスマホを握りしめ、全力で駅へと走り出しました。人間、本当の恐怖に出会ったときは、笑うことしかできないのだと知った朝でした。

港のサックスマン

男性/39歳/千葉県/自営・自由業
2026-10-14 15:44

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