エリーのハードボイルド日記 その漆
オレは、どんな巨大な力にも屈しない。
いかなる暴力や権力にも屈しない。
人はオレのことをこう呼ぶ。
「奇跡の一本松」と。
いかなるものも、オレの心まで支配することはできない。
オレは、孤高の金字塔。
オレ自身が、法律。現代に生まれ落ちた侍。
今夜も遅くなってしまったが、ようやく仕事に区切りをつける。
振り返ると、仕事がはかどりすぎて、オレの机は山積みになっている。
今日のところは、このくらいにしといてやろう。
外に出ると、雨はあがっていたが、曇っていて星は見えない。
だが、空の曇りも、オレの心まで曇らせることは、できない。
星は見えなくても、オレの心にはいつだって輝く星がある。
おっと、おまわりが近付いてくるぜ。
いやいや、怪しいもんじゃありませんって。
お酒は帰ってから飲みますって。
ふぅ、なんとかまいたか。
おっと、前からくるお兄さん、いかついな。
視線を反らして視界の端にだけ捉えておこう。
ふぅ、まったく、生きにくいぜ。
さてと、オレは帰るぜ。誰にも指図を受けず、自分の意志で。帰るんだ。
帰るつってんのに、電話が鳴りやがる。ちょっと待ってろ。
もしもし~。え?牛乳?はい。買って帰ります。うん。はいはい。え?夕飯?分かった。適当に惣菜買うから大丈夫。
うん。トイレの便座は、いつも閉めてんだけどなぁ。はい。すみません。おやすみ。
エリーマイラヴ
男性/45歳/東京都/総帥(so sweet)
2015-11-09 21:21