なにかいいこと パート4 後編
ある夜のこと。
僕が帰ろうとしていると、膳場貴子アナ似の綺麗な女性が、息を切らしながら走ってきて、こう言った。
「追われてるの!助けてください!」
数秒後、チンピラ風の男が駆けつけてきて怒鳴った。
「おい、女をこっちに渡せ。そうすれば、見逃してやる。」
女性は、僕の陰に隠れるように身を潜め、震えていた。
「どういうわけかは分かりませんが、嫌がっている女性を無理やりっていうのはよくないと思います。」
僕の声はうわずっていた。
ここで逃げたら男が廃るという気持ちで、僕は身構えた。
次の瞬間、チンピラが僕に襲いかかってきた。
僕は、思わず目をふせた。
「今だ!腰を落とせ!」
頭の中でおじいさんの声がした。
僕は、腰を落とし、下から上に腕を突き上げた。
恐る恐る目を上げると、チンピラのパンチを受け止めていた。
「次は左!右!」またおじいさんの声。
すると、僕の手はチンピラのパンチをことごとく避けていた。
「最後だ!そこで腕を回す!!」
おじいさんの声と僕は、一体になった。
チンピラの体は宙を舞って、その場にひっくり返った。
駆けつけてきた警察に、チンピラは連れて行かれ、事情聴取を終えた僕達は
、二人きりになった。
「あの、ありがとうございました。」
彼女は、安堵の声で僕に言った。
「いいんですよ。当然のことをしたまでです。」
僕は、そう言って、その場を立ち去ろうとした。
その時だった。彼女が、僕の背中に抱きついてきたのは。
「しばらく、こうしてていいですか?」
僕は、ゆっくりと彼女に向かって振り返った。
...そんなこと、ないかなぁ。。。
エリーマイラヴ
男性/45歳/東京都/総帥(so sweet)
2015-11-18 23:49