なにかいいこと パート6
可愛くて、その気になったらぐっと綺麗で、スタイルが良くて、おまけに性格がいい。
彼女は一体どこでどうやって育ってきたのだろうか。宇宙人なんじゃないだろうか。
僕の下に居るには勿体無いくらいの逸材だけど、手放したくもない。
夢を持っているのか心配なくらいだけど...。
半年前に入社して、僕の下で働き始めた彼女。
仕事もパーフェクトだし、飲みの席でもとても気が利く。
彼女と居ると、三枚目の僕も二枚目に見えちゃうんじゃないかなぁ。
カジュアルでも、フォーマルでも、非常に絵になる。
僕の襟とかネクタイとか、髪型とか、目やにとかフケとかにまでさりげなく気を配ってくれる。
善き仕事上のパートナー。
それが今の僕と彼女の距離で、そこを狭める気も遠ざける気もない。
昨日も営業飲みだった。
僕は、いつも通り酔っていたんだけど、彼女はいつもより酔っている感じがした。
だから帰りは、少し遠回りして彼女を家まで送っていくことにしたんだ。
僕は、タクシーの中で、夢を持つ大切さを彼女に熱く語っていた。
ふと気が付くと、彼女は僕の肩にもたれて寝ていた。
僕は、話すのをやめて、エンドロールのように流れる夜景を見ていた。
等間隔で並ぶ街灯は真珠のようで、テールランプもヘッドライトも、ネオンサインも、色とりどりで、宝石箱のような夜だった。
彼女の家が近付き、僕はそっと彼女を起こした。心なしか、瞳が潤んでいて、それもまた宝石のようだなと思った。
彼女が、僕の肩越しに上目遣いで言った。
「ずっとそばに支えさせてください。」
僕は、少したじろいで頷いた。
タクシーのドアが開いて、彼女は降りる寸前に僕の耳元で歌うようにささやいた。
「私の夢は、あなたのオムツを替えることです。」
...そんな子分が欲しいなあ…そんなことないかなぁ...
エリーマイラヴ
男性/46歳/東京都/総帥(so sweet)
2015-11-30 21:08