帰ってきたスカロケ小説第十話
「窓から前脚を見せて!ちわゎんは、前脚がしろ(カリンがアリアの口をふさぐ)」
怪しい相手だったからまずい。
カリンはアリアの口をふさいまま、首を窓辺に向ける。
白いチワワのような前脚が見えた 。
「ちわゎんだ!」
さちべえ2の子供の1人がドアへ駆け寄って開けた。
ギー
ドアの向こうには、チワワのぬいぐるみを抱いたとても大きなオオカミが立っていた。
キャー!
みんな叫び声を上げて、小屋のあちこちに隠れた。
「もうおそい。しっかり見たぞ!」
ぬいぐるみを放り投げて、チワワのような声から恐ろしいしわがれた声に変わっていったオオカミが言った。
オオカミが次から次にみんなを見つけだし、大きな口をあんぐりあいて丸呑みする。
「もういないな。満腹になったぞ」
ギー
オオカミはドアを開けて出て行った。その時、背中からコロンとさちべえ2が転がり出たのをオオカミは気がつかなかった。
カリン
女性/59歳/埼玉県/小説家見習い「帰って来たスカロケ小説」更新中
2015-12-02 20:33