エリーのハードボイルド日記 その拾参
男ってのは、後ろを振り返らないもんだ。
俺は、そう簡単に引き返したりしない。
背中で全てを語り、そこに全てをこめる。
「愛してる」も「サヨナラ」も。
愛しさや切なさや心強さも。
それが、俺の男としてのセオリー。
ごめんな。不器用で。
全てが自分のために輝いているんじゃないか?と錯覚するような、美しい朝だった。
俺は、手早く子供たちのためにパンを焼き、自分のパンを焼く間に、洗濯機をセットする。
朝食と洗面を済ませて、洗い物を終え、布団を干した頃に、洗濯機が終わりの合図を告げる。
流れるように美しく、全てが計算され尽くしている。
我ながらホレボレするぜ。
洗濯を干し終えると、いよいよ待ちに待った買い物タイムだ。
俺の数少ない楽しみのひとつ。スーパー散策。
俺は、素早く身支度を整え、外に出る。
光に溢れていて、空を仰げば、吸い込まれそうな青だ。
まるで、背中に羽が生えたように足どりが軽い。
不意に頭をもたげる不安...。
...鍵...閉めたっけ?
俺は、マンションの階段をかけあがり、家のドアの鍵を確認する。
...なんだ。杞憂か。
俺は、マンションの階段をかけ下りたところで考えがよぎる。
...ガスの元栓閉めたっけ?
...ベランダの窓閉めたっけ?
子供らよ。お父さん、もう一度家に戻って確認してくるね。。。
エリーマイラヴ
男性/46歳/東京都/総帥(so sweet)
2015-12-05 11:29