今年一番うれしかった出来事
私には仕事の同期で7歳年下の男の子がいます。最初はアルバイトで二人とも初心者からのスタート。やがて二人で新しいお店に異動になり、異動先で彼が店長、私は副店長という関係に変わりました。バイト時代はとても仲が良かったのですが、上司と部下の関係になってから4年間、関係はひどく悪くなり、最後の方は「おはようございます」「休憩いただきます」「戻りました」「お疲れ様でした」などの必要最低限の言葉しか交わしませんでした。彼は大学卒業後すぐこの業界に入ったので、社会人を何年か経験していた私は、彼の上司としての在り方や、子どもっぽさに苛立ちが募り、彼にしてみれば年上であり、社会人としては先輩である私に、言いたくても言えない不満や怒りが増幅していったようです。もう一緒に働くのは無理だと、何度も辞めようと思いましたが、仕事も店も好きだったし、彼のことももともとは仲良しで友人として大好きだったので、踏みとどまる、の繰り返しの4年を過ごしました。私も店長となった今、あのころの彼の不満も怒りも理解することが出来、反省することが度々あります。そしてあのころの彼から学ぶことも多く、改めて尊敬もします。精神的に非常につらい4年間でしたが、確実に今の私を作り上げた経験、時間でした。彼とは4年働いて、またそれぞれが別のお店に異動になり、あまり交流もなくなり2年が経ちました。しかし先日、突然夜中に着信があり、何か緊急事態なのかと慌てたのですが、内容は「僕の下で、辞めずに働いていてくれてありがとう」というものでした。どうやら、彼の店のバイトの子が、彼に不満をぶつけて突然店を辞めてしまったのだそうです。それがきっかけで、私にありがとうを言わないとと思ったらしいです。その時は、びっくりして、へらへら笑ってしまいましたが、電話を切った途端、涙が溢れました。冷戦が終わった喜びと、あの時辞めずに続けていて、彼との関係も断ち切らないでいて良かったという思いと、あのころの涙が報われたような、いろんな気持ちで胸がいっぱいでした。これが、私の今年一番うれしかったことでした。
れんげ
女性/45歳/東京都/会社員
2015-12-06 16:28