映画『ハッピーエンドの選び方』を鑑賞

作品からはタイトルから予想するイメージはなく、扱うテーマはずっしりと重い。
「尊厳死」、「終末医療」、「認知症」など、とても他人事ではないですが、ただいたずらに感動や重さを押すことはなく、時折コメディタッチを織り混ぜ、心を軽くしてくれる。
作品の舞台はイスラエルの老人ホーム、主人公のヨヘスケルは自身の手先の器用を駆使して、友人や妻のために発明品を作成している。
ある日、延命治療で苦しむ友人の願いを叶えるため安楽死装置を作成し仲間の協力を得て安らかに旅立たせる。しかし、秘密裏で行われ一度きりの計画のはずが何故かホーム内で広まり、ヨヘスケルと仲間達は延命治療をしている患者やその家族の想いに心が揺れる。
そんななか、ヨヘスケルの妻の認知症が進行、この辺りから物語は夫妻を軸にシフトしていく。
自分が側にいればなにも問題はないと信じるヨヘスケル、徐々に自分を失っていくことに不安を覚え自身の今後に悩む妻、二人を励ます友人達、様々な愛の形のひとつひとつが鑑賞者への正解の無い問いかけと感じる。作品はイスラエルの作品ですがこの国が抱える紛争や宗教的な問題は出てこず、イスラエルのイメージとは異なった部分を感じさせ、言葉や文化を越えて同じことに共感できる人間の心の内の素晴らしさを教えてくれます。

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