エリーのハードボイルド日記　その弍拾伍

容易に他人を信用しないことだ。
俺は誰に対しても、常に心を開いて話すが、信用するというのは、また別の話だ。

これまた、別の話だが、疑うよりは、信じて裏切られる方がましだ、とも思う。

...つまりは、こうだ。
騙される...かも知れないけれど、俺は、決して人を騙さない。そういうことだ。
裏切られても、恨まず、信じるべきものを信じればいい。
それが、男ってもんだ。

俺は、恥ずかしい話、今までいろいろなものに騙されてきた。
「日本一うまい」看板や旗に。
「シェア№1」...「完全無料」...「1時間3000円ポッキリ」...「あの...手相の勉強してるんですぅ」...。優しい謳い文句と、そのうらに秘められた罠。
「あなたのことが、好きだったから」という過去形の言い訳...。
数え挙げればキリがないぜ。

だからといって、俺は、そんなものの一つ一つを気に止めない。だから、とりあえず信じて進むだけだ。
男は、立ち止まったら、そこで終わりだと思うんだ。

...おっと。電話だ。ちょっとまってろ。
...もしもし。俺だ。
...ん？ビール？あぁ、自分の飲む分は自分で買って帰るよ。
...ん？卵？あぁ、いいよ。ついでだからな。
...ん？パンと牛乳？おぉ、よしよし。ちょっと荷物だけどな。
...ん？カット野菜と、自分の晩ごはんと、...あなたのおつまみのチーズとワイ...ンのおかわり...ですって？
...！！！
全部やないかーい！！！
...俺の、小遣いからかーーい！！

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