本日の案件
本部長、秘書お疲れ様です。
お世辞。
それは、私の背筋を凍らせる言葉です。
営業職三年目の夏。
ある製薬会社に営業に行きました。
その会社は、エナジードリンクや、育毛剤を扱う会社で、超大口の、最重要クライアントでした。
その日、私は、前任者からその企業を引き継ぐために、上司と共に初訪問でした。
初対面の担当者さんは、その企業の方らしく、色黒で若々しくハツラツな、見た目30代のマッチョ男性。
商談がある程度終わり、軽く雑談をする中、私は言いました。
「うちの父は、〇〇さんと真逆で、やせ形で色白でハゲなんです。〇〇さんのお子さんは自慢のお父さんで羨ましいです。私の父も御社の育毛剤使っていたら禿げなかったかもしれませんね」と。
担当者さんも、同行の上司も沈黙。相づちもない。流れる数秒の変な沈黙。
しかし、担当者さんは「そんなことないですよ」と笑顔を向けてくださったので、然程気にせず、ご挨拶をして、その会社を出ました。
出た瞬間。同行していた上司に、肩を叩かれました。「〇〇さんカツラだよ」と。
男性が女性の整形が解らないように、女は男のカツラなんて解んないんだよ!ごまかすなよ!素で戦えよ!と、理不尽に怒り(笑)地団駄を踏んだ悔しい夏の夕暮れでした。
それ以降、私は男性の頭ばっかり見るようになりました。
でも一番良いは男性の前で、髪の話はしないことです。
ふさふさでも褒めないことです。
触らぬ神に祟りなしです。
ちむちむパンダ
女性/44歳/東京都/デイトレーダー
2016-05-30 17:52