映画『この世界の片隅に』を鑑賞
作品は戦争の足音が忍び寄る昭和8年から戦争が終わった昭和26年までを広島から呉に嫁いだ一人の女性とその家族を描いた物語です。
様々なメディアでも取り上げられているように時代の流れ、風景、爆撃機の進路、爆発音など細部に至るまで精密に描かれ、他にも街に生きる人々の人生を感じさせるなど作品は監督のこだわりに満ちています。
物語は戦時をメインに描いていますが、人々に重苦しさはなく決して豊かではない暮らしのなかで楽しく生活を送るために工夫をこらして、戦争中とは思えないほんわかとした時間が流れます。
この辺りに「戦争に負けない」という人々の強さを感じました。
しかし戦局は悪化の一途、心優しくのんびりさんな主人公も物語が進むにつれ心理や表情も変わっていきます。飲み込めない思いをぐっと飲み込んできた心が爆発するまでの心情は凄く丁寧に描いていると思います。
主題歌の「悲しくてやりきれない」の作詞をしたサトウハチローさんも弟さんを広島の原爆で亡くしていて、この曲がこの作品に繋がったことにも何か感じるものが。
ラストの戦争を生き延びた人々によって紡がれた命が希望の灯りをともすという感じが温かく、この家族のその後に思いを馳せたくなる余暇がとても良かったです。
ムーンライズキングダム
男性/46歳/千葉県/Come live with me ~共に生きよう~
2016-11-24 23:08