映画『灼熱』を観賞

作品はクロアチア人とセルビア人の民族紛争を背景に1991年､2001年､2011年､と10年に分け3つの時代のクロアチア人の男性とセルビア人の女性の愛を描きます。

作品は3つの時代の恋人を同じ俳優で描きます。
でも、同じ名前ではなくそれぞれ別のキャラクターです。このあたりは、二人をクロアチアとセルビアそのものを重ねていたのでしょう。
昔は何の問題もなく暮らして来たが民族紛争は人々の間に深い溝を作ることになり、20年の時を経てもその傷が癒えていないことを写しだします。

人類の歴史において絶えることのない戦乱の時期｡
これまでも、そして、今もなお多くの命が消え、血が流れ、涙が落ちる。
一部の権力者が起こすのだが、その権力者をその地位に押し上げたのは?
転換期にどのような指導者がいるかというのが紛争を調べていくと重要に感じました。

周囲が作り上げた「民族」の壁、
愛は民族同士の憎しみを乗り越えることが出来るのか？

三部の簡単な流れは以下をご参照ください。

第一部の1991年は開戦間近ということもあり既に双方集落の間に検問所を設け憎しみ合う状況｡
分離独立運動が起こるまで良き隣人同士だったのに・・・。
愛し合う二人は会うことすらままならなくなり、周囲に引き裂かれていく。

第二部の2001年は紛争も終結し、復興が進みつつある時期｡
紛争時、住民たちは戦乱の難を逃れるため避難していましたが終戦となってもクロアチア人の帰郷のペースとは対照的に不安感からセルビア人の帰郷は進まない。
紛争の傷痕が色濃く残る実家に戻ったセルビア人の娘と、ボロボロとなった家を修繕のために来たクロアチア人の男性との恋を描く。互いに肉親を失い憎しみを抱えるもセルビア人女性の中に彼への想いが沸き上がる。
　
第三部は紛争の影も消えつつある2011年､都市に住んでいたクロアチア人の男性は仲間とパーティーを楽しむため帰郷する。
彼には過去に親に交際を反対され、さらに自身も都会に逃げために破局した恋人がいた。(しかも彼女は当時妊娠中)
想いを断ち切れずにいた彼は隣町に住むかつての恋人(セルビア人)に会いに行く・・・。

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