(-.-)y-., o O
…どうしても考えてしまう。考えるなという方が無理だし、年に一度はゆっくり心を寄せたい。
バレンタインデーは前妻の命日。29歳。乳ガンと診断されて半年…あっという間だった。あれからもう8年経った。
数年前までは命日が近づくと精神的に不安定になったり、息を引き取った時の夢を見たり…。
僕に大きな闇を落としたのは前妻の最期の言葉。
「ありがとう。本当にごめんなさい」
今まで「人の為」を最優先に全ての行動の舵を取って来た。接客業だったので「お客様の為」「従業員の為」プライベートでも「あいつの為」…間違いなんて思った事もなかった。自分なんてどうでも良かった。仕事もその気持ちがあったからこそ、猛烈な勢いで昇進したという自信があった。
前妻の為にも全力だった。寝る間も惜しんで仕事して入院費や高い抗ガン剤を投与出来る様に稼いだ。仕事の合間に必ず見舞いにも行った。
「危篤です」と連絡を受けて病院に向かう最中は、気持ちを落ち着かせる為に「やれるだけやった。あいつだって頑張った…」と何度も言い聞かせた。きっと優しい奴だから「ありがとう」と言ってくるだろう。そう思っていた。でも違った。
彼女は謝りながら逝った…。そうさせてしまった…。それがあの日から何年も頭の中にこびりついて離れなかった。うなされて、辛くて、後を追って…なんて事も考えた。笑顔を作る事すら吐き気がした。…もう罪悪感しかなかった。
幸い仲間のお陰で救われた。あいつらは僕と同じ様にモヤモヤを抱えていたけど「自分の気持ちに決着をつける」為に、あの日から前妻の思いを胸に行動を起こしていた。
彼らを見て「自分の気持ちを大切にする」事が最優先なんだと思った。僕は軽々しく「人の為」と言わなくなった。それならよっぽど「自分の為」にやってる奴の方がカッコイイ。自分を大切にできない奴が、人を大切に出来るはずがない。
前妻から見て、あの時の僕は「カッコイイ」から程遠い「可哀想な奴」に見えたのだろう。好きだった女にカッコ悪い姿を見せていたんだと。
日曜日に墓参りに行って来た。自分に自信を持って、もっと強くなって、人の為に身体を張ってやる!って誓って来た。あの日から今日までブレなかった愛情を見せよう。もう一度惚れ直してもらう為に。
よし、ここからだ。
貴久&ガッパーナ
男性/47歳/千葉県/蕎麦屋専門のコンサルタント (社長さん)
2017-02-14 01:12