映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観賞
映画監督50年目の名匠ケン・ローチ監督。
前作での引退を撤回して製作されたこの作品も庶民の目線に立ち、ユーモアを交えた作り方は健在、まさにキャリアの集大成のような名作でした。
物語の主人公ダニエルは心臓の病から医師に仕事を止められ、国の援助を受けるべく役所に向かうが何故か就労可能とされ、手当てを受け取ろうにも複雑化された制度が立ち塞がる。
そんな中で二人の子供を抱えたシングルマザーのケイティと出会います。
ダニエルは、自身も苦しいのに一家を手助けし彼らの間には家族のような絆が生まれるが・・・・。
イギリスの社会福祉は「ゆりかごから墓場まで」のイメージがありますが本作では制度がまるで手当てを貰えないようになっているような現実が。生活保護不正受給の問題もありこのような形となったようですが本当に援助が必要な人々まで助けられなくなるという皮肉が。
作品でも主人公と役所のやり取りはコメディーのようですがとても笑えない。
温かさを感じるのが人々が助け合おうとする姿、時折出てくる「困ったことがあれば言ってくれ」という言葉は観ている側も救われる気持ちになりケイティの娘がダニエルに「助けようとしてくれたから助けさせて」というシーンは優しさと温かさに満ちています。
何がどうなってこんなことに?というおかしな世の中、作品は現実的な視点の中、今を必死に生きる人々に寄り添い強いメッセージを発します。
「わたしはダニエル・ブレイク、一人の人間だ。」
ムーンライズキングダム
男性/46歳/千葉県/Come live with me ~共に生きよう~
2017-03-26 21:30