あれは何だったのか

2007年６月のある週末の深夜、信州蓼科は長門牧場近くの
つづら折れの山道を上っていた時の事。
立ち並ぶ樹々の合間をヘッドライトが照らした彼方、 幾つ
もの動物の眼が光った。
野性動物の姿を見つけ出そうと停車して、外に出てみた。


こちらを見続ける眼差しの中にひとつだけ不可思議な光をあ
放つものが有った。

対に成った眼差しの中に、それだけがひとつだけで大きく
此方を見据えているのだ。
他の連中が右へ左へ移動する中、そのデカイひとつ眼だけ
此方を見たまま微動だにしない。

誰か酔狂な連中が、動物に混じってからかっているのかと
思ってマグライトを照らしてみた。
鹿たちが一斉に走り出した中に、デカイひとつ眼は消えて
いた。あのデカイひとつ眼は何だったのだろうか？

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