エリーのハードボイルド日記 其の肆拾伍
世の中で最も恐ろしいことって何だと思う?
そりゃあ、非日常の出来事だって起こりうる。ここでの恐ろしさを「日常の中で」と限定しよう。
さて、日々の生活の中で、恐ろしいことって何だろう。。。。
俺は、こう思うんだ。
それは「ゴミを出し忘れることだ」ってね。
ゴミが増え続け、腐敗し、虫がわき、そこに埋もれてもはや何も感じなくなる…なんと恐ろしいことだろうか。
きっかけは1枚の置き手紙だったんだ。
仕事から帰ったら、リビングテーブルにおもむろに置かれていたのさ。
「2~3日、実家に帰らせて頂きます。」
…おうおう、いいじゃねぇか。お盆だしな。
しかし、手紙とはしおらしいな。かわいいやつだ。なになに?…
「ゴミはちゃんと捨ててください。」
…おうよ。…明日は…缶とペットボトルだな。任しとけ。
(…そして、2時間後…)
…ふぅ。1人の夜を満喫しちまったな。
ビールの空き缶と、梅酒の割りものの炭酸水の空のペットボトルがずいぶんたまったぜ…どれどれ、寝る前に捨てるかな。
…おっといけねぇ。明日はゴミの日だったな。
忘れないようにリビングの入り口に袋ごと置いといて…と。
これでよし。明日の朝起きたらこれで気付くだろう。明日の俺が。
(…さらに、3時間後…)
…少し飲み過ぎちまった俺はもぞもぞ起きて、トイレに行ったんだ。
そして、渇いた喉を潤そうとリビングに入ったその時だ。
丑三つ時の薄暗い家中にその音は鳴り響いた。
「ガラガラガッシャーン!!ゴトーンゴロゴロ!!」
…訂正しよう。
世の中で最も恐ろしいことは、丑三つ時に薄暗いリビングで缶とペットボトルを蹴り散らかしてしまうこと…。
いや、さらに言うと、それをビビりバビりながら袋に戻す中年の男の背中…なのかも知れない。。。
エリーマイラヴ
男性/45歳/東京都/総帥(so sweet)
2017-08-14 23:06